コラム

『災害時こそ現金を持つべきだ』という人に考えてほしい

2018年7月2日に、産官学による日本のキャッシュレス推進母体として中立的な討議の場として『キャッシュレス推進協議会』が設立されました。2018年10月15日に開かれた『設立大会』で、この組織より『災害に強い決済システムの構築』を目指すことが明らかにされました。

キャッシュレスを引っ張る組織としては頼もしい目標を掲げましたが、世間に目を向けるとキャッシュレス化には否定的な声が多く聞こえてきます。

「キャッシュレス化で他の国に遅れをとっている日本」って、こんな災害大国でキャッシュレスになって大丈夫なの?

キャッシュレスとか無理じゃないかなぁ。災害大国すぎて。電気の供給なくなったらなんもできんくなるなら現金ないとこわい

キャッシュレス化を進めていく方針といっても、災害のときに使えるのは現金。

どの声も正しいと思いますし、間違いないと思います。しかし、否定する意見の多くは『利用者側』の言葉でしか無いのです。

この記事では、キャッシュレス否定派に想像してほしい『災害時のお金』について考えていきます。

確かに、今のキャッシュレスは災害に強くは無い

現在普及しているキャッシュレスシステムでは、電気とネット回線が整っていなければ決済を行うことができません。災害時にカバーすることはきっと無理でしょう。

しかし、これはすぐに解決できる問題だと思っています。Cashless JAPANでは、2パターンのオフライン対応手段を考えてみました。

Bluetooth経由で近くの店舗端末に支払い申請を送る

Origami Payでは、Bluetooth経由で支払いを済ませることができる機能があります。動画内ではBluetoothで繋がった端末同士からネット回線を通じて支払いが実行されています。もしオフライン対応させるのであれば、『お客さんのスマホ→店舗のiPad』に支払い予約を転送。店舗側のネット回線が復帰したときに『店舗のiPad』に保存された支払い予約を元に本決済を実行、という手段を考えることができます。

オフライン時には決済されませんが、双方で『お互いに支払いを許可している状態』を作り出していれば、後からの決済実行でも問題ないでしょう。

Cashless JAPAN
Cashless JAPAN
無効カードの発生の可能性も否定できませんが、これはネット回線が生きているときにアプリ決済事業者が定期的に登録されたカードステータスをチェックをするなど、予めオフラインで使える枠を確認しておくなどの対策で実現できると思います。

QRコード経由で支払い予約

店舗では、静的なQRコードのパネルを用意しておきます。
店舗側はお客さんに支払うべき金額を伝えます。お客さんがQRコードを読み取りを行い、聞いた金額を入力して決済ボタンを押します。オフライン決済が行われると『○○○○円支払い予約完了』という画面が表示されます。このとき、お客さんのスマホには支払い予約が保存されます。

店舗側はお客さんの画面を見て、支払い予約が完了したことを確認し、商品をお渡しします。お客さん側のネット回線が復帰すると自動的に予約決済に溜まった支払い予約を実行して、すべての決済が完結します。

Cashless JAPAN
Cashless JAPAN
店舗側は受け身の姿勢でとても楽になります。しかし問題も考えられます。お客さん側が予約決済をした状態で、アプリを消してしまった場合、そのお買い物が無かったことにされてしまいます。その辺りの対策は欠かせないでしょう。

現金派の気持ちも十分理解できる

オフライン対策の方法を考えてみましたが、現金派の気持ちは変わらないでしょう。わざわざ『お金を払う』という行為に気を使う意味が分からないと思います。現金さえ持っていればどこでも使えるし、ネット回線があろうが無かろうが支払いができるのに、なぜ自ら災害の影響を受ける支払い方法を推してるの?と考えるのは当然です。

現金を払う側としては、『どこでも使える』という安心感があります。

しかし考えてみて!

すべて利用者側の考え方ではないですか?

『現金を受け取る側』の気持ちはどうでしょうか?現金には、『運搬』『管理』『お釣り』など考えなくてはならないコストの問題が多数あります。

運搬&管理

現金を流通させるためには、現金を銀行やATMに運搬しなくてはなりません。災害時に現金を持っていない人はATMを使うことになるでしょう。ATMにも当然に電力が必要です。

東日本大震災の際に車両型の『移動ATM』が派遣されたというニュースを聞いたことは無いでしょうか?このATMは、電源が無いところでもATMサービスを提供できます。その電力は発電機から供給されるので良しとしましょう。

このATMは、発電機を動かすガソリン+現金を多く持ち出す必要性+人件費などの莫大なコストがかかります。高いコストの割に派遣した地域だけの超限定的なサービス供給となり、心の底から素晴らしいサービスだ!と称賛することはできません。

『わたしはこんなATMのお世話にならない!』と豪語していても、災害はいつ起こるか分かりません。どのタイミングでも、常に現金を持っているとは限らないことは認識しておいてください。

店舗側が『お釣り』を用意する負担

利用者側は現金を持ち合わせていれば、お買い物ができます。店舗側はお客さんのために『お釣り』を用意する必要があります。災害時となるとATMなどでおろしてきた1万円札や5千円札などの大きな額を使う人も増えるでしょう。店舗側はいつも以上に大きな額のお釣りを大量に用意しなくてはなりません。

お釣りを用意するには、銀行に足を運び、お釣り用の現金を店内で保管する必要があります。人的コストや肉体的コスト、セキュリティ面など、どの方向から見ても明らかに負担が大きいのです。

災害時はお互いに支え合わなくてはならない状況ですが、これでは店舗側への負担の割合が大きいことに気づいてください。

キャッシュレスと現金どちらが低コスト?

ここまで読んで頂ければ分かると思いますが、現金とキャッシュレスはどちらが低コストだと思いますか?

様々なコストや電気消費量を考慮してみても、圧倒的にキャッシュレスの方が少ないコストで運用できることが分かります。もちろん、現時点ではオフライン決済ができないなどの問題点がありますが『オフライン決済問題を解決できる手段があれば現金に勝る位置』にいることは間違いありません。

Cashless JAPAN
Cashless JAPAN
キャッシュレスであれば、お客さんと店舗の双方が負担を少なくなるでしょう。スマートフォンがバッテリー競争の末、低電力で利用できることも良いことです。

結局どうすれば良いのか

現在のキャッシュレスではオフライン対応もできない、現金のコストが大きい、じゃあどうしろと言いたいの?となります。

Cashless JAPANとして主張したいのは、

お伝えしたいこと

発展途上のキャッシュレス技術に期待をし、キャッシュレスを受け入れる姿勢を持ってほしい!

ということです。今の時点ではキャッシュレスでは災害に弱いと言われても仕方がありません。しかし限りなく近い未来に、すべてを解決した決済手段が現実のものとなることでしょう。

今のキャッシュレスが災害に弱い背景には、拡く使われているPOSレジが災害に弱いという問題もあります。キャッシュレスだけの問題では無いことも念頭に置いて欲しいところです。

『キャッシュレスは災害時に弱い』は本当なのか?9月6日(木)午前3時8分に、北海道を襲った最大震度7の大地震。明かりに灯された街の景色は、停電の影響で一面真っ暗になってしまいました。...

過去に「『キャッシュレスは災害時に弱い』は本当なのか?」という記事を公開しましたので、そちらもご覧ください。今の時点では、現金50%+キャッシュレス50%という配分で利用していくと『もしもの時』に困らない状態になると考えています。

この記事が『災害とお金』の問題を考えるきっかけになると幸いです。