コラム

PayPayで支払ったら20%戻ってくる!『100億円あげちゃうキャンペーン』で攻勢

2018年11月22日ソフトバンク株式会社とヤフー株式会社が合弁会社として設立したPayPay株式会社は、『100億円あげちゃうキャンペーン』と銘打った『お祭り』とも呼べるキャンペーンを発表しました。

この発表は、熾烈を極める競争を繰り広げているQRコード決済業界を激震させました。今回、PayPayが発表した『100億円あげちゃうキャンペーン』の概要は下記の通りです。

キャンペーン名 100億円あげちゃうキャンペーン
開催期間 2018年12月4日~2019年3月末まで
※期間中であっても還元金額が100億円に達した場合、途中終了となります。(途中終了の場合は公式サイトで事前告知あり)
内容 【プレゼントキャンペーン】
・PayPayに新規登録で500円相当のPayPayボーナス。
・5000円以上のチャージで1000円相当のPayPayライト。
・ソフトバンク、ワイモバイルユーザーは、支払い方法の設定で500円相当のPayPayボーナス。

【還元キャンペーン】
・PayPayで支払った金額の20%相当のPayPayボーナスを還元

【抽選キャンペーン】※下記すべて上限10万円相当
・PayPayで支払ったら40回に1回の確率で全額PayPayボーナスとして還元。
・Yahoo!プレミアム会員なら20回に1回の確率で全額PayPayボーナスとして還元。
・ソフトバンクスマートログイン設定済み、ワイモバイルサービスの初期登録済みのYahoo!JAPAN ID設定で10回に1回の確率で全額PayPayボーナスとして還元。

参加条件 PayPayで決済を行うこと。
※ただしPayPayのオンライン決済サービスでのお支払いは対象外。

PayPay株式会社が展開する『PayPay』は、QRコードを用いてスマホ決済ができるスマートフォンアプリです。スマートフォン一台で決済ができる機能、友達同士に送金ができる機能など、お金の流れをスムーズにする魅力的な機能を備えています。

普段現金で支払いを行っているところを、PayPayで支払うだけでキャンペーンに参加できる手軽さです。キャンペーン開始の12月4日以降のお買い物が楽しくなることは間違いありません。

しかし、ここで思うことが沢山あります。

  • ユーザーにはメリットがあるけど、PayPayにはどんなメリットがあるの?
  • QRコード決済の主導権はPayPayが握ることになるの?
  • キャッシュレス分野の今後はどうなるの?

など…。気になるキャッシュレスの未来について考えていきます。

PayPayの基本情報

QRコード決済アプリの『PayPay』は、ソフトバンク株式会社とヤフー株式会社が合弁会社として設立したPayPay株式会社が運営しています。

2018年10月5日からサービスの開始したばかりの、新しいスマホ決済アプリです。

主な機能

PayPayには、主に3つの機能が搭載されています。

  • QRコード決済機能
  • 個人間の送金機能
  • レシート機能

上記の3つの機能についてご説明します。

QRコード決済機能

QRコードを用いて支払いを行う機能です。QRコードを読み取ることで、お店とお客さんを瞬時に支払い関係に結びつけます。一口にQRコード決済と言っても2種類の方式があります。

ユーザースキャン お店が予めレジ前にQRコードが描かれた紙を設置します。このQRコードをお客さんが読み取り、お客さん側で合計金額を入力してもらい、支払いを行う方式です。
ストアスキャン お客さんのスマホに表示されたQRコードやバーコードを、お店側が読み取りを行うことで支払いを行う方式です。

これらの方式は設備投資にも違いが出てきます。そのため、このように2つの方式を用意することで、PayPayを導入するお店側の都合によって臨機応変に導入ができます。

<各方式で必要になる設備>

ユーザースキャン ・PayPayコードキット(同梱内容:PayPayコードステッカー、取扱説明書、店舗用ステッカー、台紙ステッカー、自立式台紙)
・インターネットに繋がる環境
ストアスキャン ・iPadやiPhoneなどPayPay対応の端末(カメラ搭載必須)
・インターネットに繋がる環境

どちらも低コストで導入できますが、ストアスキャンだけは端末が必要となるので少しコストが高くなります。しかし従来のレジを導入することを考えれば、かなり安価であることは間違いないでしょう。

個人間の送金機能

友達や飲み会参加者など、個人に対して手数料無料で送金できる機能です。今までお金を『送るとき』は、銀行ATMを使って送金をしてきましたが、手数料がかかるために少額の送金には向きませんでした。

これからはPayPayを使えば手数料無料でお金を送ることができます。利用ケースとしては『割り勘』が一番に思い浮かびます。小銭を持ち合わせる必要が無く、ストレス無く1円単位で割り勘ができるようになります。

お金の流れがスムーズになり生活は劇的に変わること間違いありません。

レシート機能

レシート機能となっていますが、『利用履歴』のことです。PayPayはクレジットカード等と連携をして使用します。クレジットカードでは決済を行った数日後に明細に反映されますが、この反映の遅さにモヤモヤしたことはありませんか?

PayPayを使えば、PayPay上に利用履歴が瞬時に反映されます。支払った金額や利用店舗を、その日に振り返ることができます。クレジットカード特有の『お金を使った感じがしなくて嫌だ』や『使いすぎてしまう』を軽減できます。

地味な機能ではありますが、クレジットカード特有の不安を解消する素晴らしい機能です。

PayPay導入店舗に優しいキャンペーン実施中!

2018年11月22日の発表会でも言及されましたが、PayPayは『営業拠点を20箇所有し、数千人規模の営業でNo.1を目指す』という気持ちでサービス展開を行っています。

このことから『導入をしてもらう』ことに全力で向き合っているのです。そのため、『導入店舗に優しいキャンペーン』を実施しています。

『2021年9月末まで、ユーザースキャン方式の決済手数料無料』というユーザー定着まで利益を取らない姿勢のキャンペーンが実施されています。『売上金の一部を取られる』という導入店舗の最大のハードルを下げる形となっています。

実は決済手数料無料キャンペーンはLINE Payも同様に開催しているため、珍しいものではありません。

お店がPayPayを導入するメリット

前述の通り、PayPayはお店に優しいキャンペーンを展開しています。もっと具体的にどういったメリットがあるかをご紹介します。

決済されたお金の入金は翌日!

これまでのクレジットカード決済は、現金として手元に入るのは月2回程度と資金繰りに困るものばかりでした。

PayPayでは翌日~翌々日営業日の入金を実現しています。ジャパンネット銀行なら翌日入金に対応。その他金融機関でも最短で翌々日営業日に入金される体制が整っています。

PayPayを取り巻くサービスによる集客力

PayPayは中国国内に6億人ものユーザー数を抱える『Alipay』とサービス連携をしています。PayPayで生成されたQRコードはAlipayでも読み取りができ、決済が可能になっています。

つまりPayPayを導入するだけで、日本に訪れた中国人のお客さんが来てくれる可能性が上がるということなのです。特別の費用もなくインバウンド対策(訪日外国人の機会損失を防ぐこと)が可能になります。

『100億円あげちゃうキャンペーン』で展開されるPayPayの戦略

長くなってしまいましたが、PayPayの基本情報は以上となります。ここまでおさらいしたところで本題に入ります。『100億円あげちゃうキャンペーン』には、どういった思惑があるのでしょうか?

答えはすごく単純で、『とにかく使ってもらうハードルを極限まで下げる』です。これ以上でもこれ以下でもありません。

上記の図は、キャンペーン発表前後の話題グラフです。キーワードに対するツイート数がグラフで表されています。

キャンペーン発表前は『QRコード決済』という言葉すら話題に上がっていません。『PayPay』という言葉に至っては、ほぼゼロに近い状況でした。

今までは『QRコード決済』はキャッシュレスに興味がある人たちの間で話題になってきました。普及をさせるためには、一般層に『使ってもらう』必要があります。どんな手を使ってでも、一般層に振り向いてもらうために『100億円あげちゃうキャンペーン』を展開させました。見事グラフは跳ね上がり、トレンドワードにまで登場することができました。

でもこの方法だと定着しないのでは…?

無事にキャッシュレスに興味の無い一般層に振り向いてもらうことができたPayPayですが、これで良いわけがありません。

『一時的に話題になっただけで、PayPayがユーザーに定着するかはまた別の話では?お金をばら撒いて消えそう…』

この考えに至るのは当たり前で自然なことです。Cashless JAPANでは、『正しい』と思いつつも『正しくない』とも思っています。

『100億円あげちゃうキャンペーン』で生まれる流れ

『100億円あげちゃうキャンペーン』で発生する流れを『お店側』と『お客さん側』の2つの立場で想像します。

お店側

  1. 『導入しただけで負担ゼロで20%OFFでお客さんにウチのサービスを試してもらえるじゃん!決済手数料無料だし、申し込んでみよう!』
  2. 入金サイクル早いし、いい感じ!
  3. <キャンペーン終了後>還元されたPayPayボーナスを使う人もいるだろうし、このまま導入しておこう。
  4. <その後>導入しておいても特に負担ないし、このままでいいや。

お店側は何もせずともサービスを利用できるので、定着するだろうと思います。

しかし、問題は『お客さん側』です。

お客さん側

  1. 『20%も還元されるの!?使わないと損じゃん!期間中いっぱい使おう!』となり、大きな買い物を行う。
  2. 常に20%OFFで買い物ができる環境になるので、欲しいものをPayPayが使えるお店で購入するようになる。(PayPayが使えるお店を自然と探すようになる。)
  3. 還元されたPayPayボーナスが出金できないことに気づくユーザーが続出。還元後もPayPayが使えるところを探して使い切る。
  4. <キャンペーン終了後>『0.5%還元か…。還元率しょぼいしQRコード決済面倒くさいから使うのやめよう。還元率高いスマホ決済無いかな~?』
  5. PayPayでQRコード決済というものを体験し、他に還元率の良い決済アプリを探すようになります。
  6. 『おっ!LINE Payが3.5%~5%還元やってるじゃん!?』と、LINE Payに移行する人たちが増える。

Cashless JAPANでは、このような流れが起きるのでは?と考えています。これまでQRコード決済に触れてこなかった人たちが、『各社がばら撒きキャンペーンをやっている』ことに気づきます。

<各サービスの還元キャンペーン期間>

PayPay 【100億円あげちゃうキャンペーン】
2018年12月4日~2019年3月末まで
LINE Pay 【コード支払い促進キャンペーン】
2018年8月1日~2019年7月31日まで

上記のように、キャンペーンの終了日がLINE Payの方が後であるため、最後の着地はLINE Payになる可能性があります。LINE Payは『専用の据置端末の設置』を進めていきます。お客さんとしては、使いやすく便利にお得なLINE Payを使うようになるのでは、と思います。

LINE Payは今後、QRコードを表示することなく快適にお買い物ができる環境を提供する可能性があります。過去に記事を書きましたのでご覧ください。

スマホ決済の主導権争いに終止符か!?LINE Pay据置端末のポテンシャルを紐解くベンチャー企業から大手企業まで、各社がスマホ決済業界の主導権を握ろうと熾烈な競争を繰り広げています。中でも『LINE』は他社の追随を許さ...

PayPayがLINE Payの快適な買い物環境を上回ることができなければ定着はしないでしょう。PayPayがコンタクトレス決済を実装した場合、これまでのコンセプトと大きくズレてしまいますし、これまでの導入店舗拡大の営業もやり直す形になります。(しかし入り口を開いた状態なので比較的コンタクトレス決済端末の導入はしやすい。)

キャンペーン終了後が本当の勝負

Cashless JAPANでは、本キャンペーンで定着は大変難しいと考えています。

お店側の定着は容易ですが、お客さん側の定着は厳しいでしょう。中国などで普及してきたのは『現金を信じることができない』という環境がありました。しかし、日本では現金が信じられている環境があります。日本で普及させるための焦点は『使えるお店が多いか?』よりも先に『お得であるか?』が大きいのです。

『PayPay』VS『LINE Pay』

  • PayPayは『使えるお店が多い』で勝利をすること間違いありません。
  • LINE Payは『お得であるか?』に勝利することでしょう。

この考えであれば、お客さんはLINE Payを好みます。少し不便でもLINE Payを優先して使いたいと考えるのが自然です。

せっかく還元されるのでPayPayを使いますが、最終的にはLINE Payカードが使えて、コンタクトレス決済が使えるようになる(可能性がある)LINE Payに戻るつもりです。これが筆者の気持ちです。

期間中のPayPayの成長次第!

筆者がLINE Payが勝利するというのは、2018年11月25日現在の考えです。

キャンペーン期間中にコンタクトレス決済に対応したり、還元率が永久にLINE Payよりも高くなることが発表されれば、これからもPayPayを使うことになるでしょう。

すべてはキャンペーン期間中に未来のPayPayに期待できる内容の発表や実装次第です。

QRコード決済にスポットライトを当ててくれてありがとう!

この記事では、少しLINE Payに贔屓する形となりましたが、PayPayに言いたいのは『QRコード決済を話題にしてくれてありがとう!』です。

ここまで話題になるキャンペーンがなければ、LINE Payすらも普及は難しかったでしょう。スポットライトを当ててくれたPayPayには強く感謝しています。

QRコード決済分野だけではなく、キャッシュレス業界全体が面白くなることは間違いありません。これからも沢山情報収集して、キャッシュレス生活を楽しんでいきましょう!

<関連リンク集>
PayPay公式サイト
100億円あげちゃうキャンペーン
PayPay(ペイペイ) 新しい取り組みに関する発表会 11月22日