テレビやインターネットのニュースでは、よくこんなことを言われます。
キャッシュレス決済はインバウンド対策に効果的だ
これが事実なのは間違いないのですが、注意すべきポイントがあります。
- どこの国の人たちをターゲットにするのか
- それに適した決済手段を採用する
何も考えずに「キャッシュレス決済」を導入してしまうと、後悔する結果となる可能性が高くなります。
この記事では、店舗経営者・責任者に向けて「インバウンド対策のためのキャッシュレス決済」に焦点を当ててご紹介していきます。
- インバウンド対策のためのキャッシュレス決済の選び方が分かる!
- 国ごとに適したキャッシュレス決済が分かる!
この記事のもくじ
キャッシュレス決済の種類
キャッシュレス決済には大きく分けて”3種類”あります。
- クレジットカード決済
- 電子マネー決済
- スマホ決済
上記の3種類の決済がありますが、この内でインバウンド対策に有効なものは2種類しかありません。
▼インバウンド対策にならないキャッシュレス決済へ
▼インバウンド対策になるキャッシュレス決済へ
※3種類のキャッシュレス決済について知りたい方は下記の記事をご覧ください。
インバウンド対策にならないキャッシュレス決済
先で挙げたキャッシュレス決済の中で、インバウンド対策に向かないものは下記の1つだけです。
- 電子マネー決済
理由を詳しく説明します。
電子マネーを使うためにはFelicaという日本独自のチップが必要です。日本のiPhoneやスマートフォンで電子マネーが使えているので、世界中で使えるような印象がありますが、実はFelicaチップは日本で販売されているiPhoneやスマートフォンにだけしか内蔵されていません。
海外のiPhoneやスマートフォンにはFelicaチップが内蔵されていないため、電子マネーを使うことができないのです。代わりに海外ではNFC Type-A/Bという国際規格を使ったコンタクトレス決済が主流になっています。
以上の理由から、インバウンド対策を目的とした電子マネー決済の導入は効果がありませんので注意しておきましょう!
※日本人をターゲットにした電子マネーの導入は効果的ですので、ぜひとも導入しましょう。
インバウンド対策に効果的なキャッシュレス決済
それでは本題です。インバウンド対策に効果的なキャッシュレス決済を見ていきましょう。効果的なキャッシュレス決済は下記の2つです。
- クレジットカード決済
- スマホ決済
日本国内で実施するインバウンド対策は上記の決済が効果的です。だからと言って、何も考えずに片方を導入するのは正しい選択とは言えません。
ややこしいことに、それぞれの決済手段では有効なターゲット国が異なるのです。
具体的に見ていきましょう。
その前に…日本に訪れる外国人を知ろう
「訪日外国人」を表すインバウンドという言葉ですが、その中にはいろいろな国の人たちが入り混じっています。インバウンド対策を考えるに際し、国別で数字を見ておきましょう。

この表は、日本政府観光局が2018年の訪日外国人の数をまとめたデータです。重要となりそうな国をいくつかピックアップしておきます。
<アジア>
韓国 | 753万人 |
---|---|
中国 | 838万人 |
台湾 | 475万人 |
香港 | 220万人 |
タイ | 113万人 |
<欧米(オセアニア含む)>
アメリカ | 152万人 |
---|---|
オーストラリア | 55万人 |
カナダ | 33万人 |
イギリス | 33万人 |
店舗によって訪れる外国人の種類は異なりますが、「とりあえずインバウンド対策をしておく」といいう店舗の方には参考の数字として覚えておくと良いでしょう。
これを把握しておいた上で決済手段ごとにインバウンド対策を見ていきましょう。
クレジットカード決済
クレジットカード決済は、ご存知の通りクレジットカードを使ったお支払い方法です。国際ブランド(VISA / MasterCard / JCBなど)の表記があればデビットカードやプリペイドカードによるお支払いもクレジットカード決済に分類されます。
クレジットカード決済も細かく分けると3種類の決済形式があります。

磁気ストライプ決済
磁気ストライプを読み取って決済を行う形式です。決済端末にスライドさせて読み込みます。決済時にサインを頂く必要があります。最近ではセキュリティの観点から懸念点が多くあるため、カード会社はICカードへの移行を呼びかけています。
ICカード決済
ICチップが埋め込まれているカードで利用できる決済です。決済端末に挿入し、暗証番号を入力する形式です。複製が難しいとされ、高いセキュリティが施されています。磁気ストライプからICカードへの移行が進められていて、2020年までに100%の移行が完了することを目指しています。
コンタクトレス決済
決済端末にタッチするだけで決済ができます。基本的にサインが不要なのでスムーズにお買い物ができます。
これら全てに対応する必要はなく、「磁気ストライプ決済」と「ICカード決済」にだけ対応しておけば問題ありません。
クレジットカード決済が効果的な国々
- 韓国
- 台湾(JCBも多く利用される)
- 香港
- アメリカ
- オーストラリア
- カナダ
- イギリス
- タイ
先程の訪日外国人の人数から算出すると、カバーできる人数は1834万人になります。インバウンド対策としてかなり有効な手段であることが分かりますね。
クレジットカード決済を導入する場合は、Squareを選ぼう!

クレジットカード決済を導入するならSquareを選ぶことをオススメします。iPadで使えるPOSレジなので、低コストで始めることができます。周辺機器を別途用意する必要があったり、レジ自体を入れ替える必要がありますが、高機能なレジを快適に使えるため、長期的に考えるとコスパの良いPOSレジ+決済端末であると言えます。
似たPOSレジにAirレジがありますが、これはオススメしていません。Airレジをオススメしない理由はこちらを参考にしてください。
Squareについて詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
スマホ決済

近年、話題になっている決済サービスです。バーコードやQRコードを用いた決済手段であり、スマートフォンの機能やスペックに左右されにくいシステムを採用しています。(カメラと画面とネット環境があれば利用できる)
しかし、スマホ決済にも問題になっていることがあります。
みなさんも既に感じられているように、「乱立しすぎている」です。
POSレジなどと比べると簡単に制作できるので、IT企業はこぞってペイメント市場に参入してきています。ただ、この乱立戦争もセブンペイ騒動がきっかけで収束するものと予想されますので安心してください。

店舗側は上記のような台紙をレジ前に設置しておくだけで導入が完了します。
スマホ決済が効果的な国々
- 中国
- 台湾
- タイ
先程の訪日外国人の人数から算出すると、カバーできる人数は1426万人になります。こちらもインバウンド対策としてかなり有効な手段であることが分かりますね。
LINE Pay

LINE Payは中国の2大モバイルペイメントと言われている「WeChat Pay(微信支付)」と連携しています。LINE Payを導入しておけば、訪日中国人は普段から使っているWeChat Payを使ってLINE PayのQRコードで支払うことができます。中国人をカバーするならLINE Payの導入は必須です。
韓国エリアで使われているNaver Payにも対応しています。
また、LINE Pay自体が台湾やタイでも利用されているのでこれらの国々に対応する場合もLINE Payが効果的です。
PayPay

PayPayは中国の2大モバイルペイメントと言われている「Alipay(支付宝)」と連携しています。LINE Payとほとんど同じですが、訪日中国人の中でもAlipayユーザーをカバーすることができます。中国人をカバーするならLINE PayとPayPayは両方とも導入しておくべきです。
単純に、PayPayには日本人ユーザーが1200万人もの会員を持っているため、インバウンド対策でなくとも導入をしておくと恩恵を受けられることでしょう。
まとめ:キャッシュレス決済はこうやって選べ!
長くなってしまったのでまとめておきます。
ターゲット国を選ぼう
キャッシュレス決済はターゲットとする国によって、選択肢が大きく変わってきます。
決済手段を選択しよう
<クレジットカード決済>
欧米人がターゲットなら必須!<スマホ決済決済>
中国人、台湾人、タイ人がターゲットなら必須!
まとめるとたったこれだけです。迷ったら、クレジットカード決済端末とLINE PayとPayPayの導入をしておけば良いのです。
間違えてもAirペイは導入しないように注意してください!
LINE PayやPayPayは2021年中頃まで決済手数料が0円ですが、Airペイを経由すると3.24%の決済手数料がかかってしまいます。